少しだけ入手しやすくなった本土鍋の炊飯器/タイガー魔法瓶「土鍋ご泡火炊き JRL-A100」

土鍋でご飯を炊く、という体験をしたことがあるだろうか。吹きこぼれないよう火加減を調整して、蒸らしの時間を見計らう。美味しいのはわかっているが、面倒くさい。タイガー魔法瓶はその「面倒」をまるごと引き受けた炊飯器を20年間作り続けてきた。その20周年を記念して2026年6月21日に発売されたのが「土鍋ご泡火炊き JRL-A100」だ。最上位機「JRT-A100」に次ぐセカンドラインとなる。

萬古焼の本土鍋釜はフラッグシップと共通

「土鍋ご泡火炊き」シリーズの核心にあるのが、三重県伝統の萬古焼で作られた本土鍋釜だ。JRL-A100はセカンドラインでありながら、この内なべをフラッグシップ「JRT-A100」と共通で採用している。コストダウンの割を食った感がなく、味への妥協がない設計だ。

加熱方式は土鍋圧力IHで、内なべ外側底面の温度は最大約250度に達する。この高温が、土鍋ならではの細かく均一な「泡」を生み出す。泡がお米を包みながら躍らせることで米同士がぶつかって傷つくのを防ぎ、粒立ちのある一流料亭のような仕上がりを実現する仕組みだ。

ゆめぴりか、あきたこまちで試した結果

実際にゆめぴりかとあきたこまちで炊いてみた。甘み・もっちり感(弾力)ともに、フラッグシップモデルと同等の仕上がりだった。炊きたての美味しさはひと口でわかる。粒の輪郭がくっきりとして、噛むほどに甘みが出てくる。「料亭で食べるご飯に近い」という印象は、誇張ではない。

保温は最大24時間対応だが、土鍋の特性として長時間保温はやや苦手な面もある。釜に接した米粒が溶けてくることがあるため、12時間以内に食べるのが現実的だ。炊きたてを美味しく食べることに重点を置いた設計だと割り切ると、むしろ納得できる。

食感炊きわけ3段階と新搭載のおこげ選択

炊き分け機能は食感炊きわけ3段階(白米のみ)を搭載。少量炊きでも美味しく仕上げる「少量旨火炊き」も用意する。今回新たに加わったのが「おこげ選択」機能と分づき米コースだ。おこげのあり・なしを選べるのはちょっとした楽しみになる。

フラッグシップ「JRT-A100」との違いは、火かげんが3段階選択からおこげあり・なしの2択になる点、銘柄炊き分けが非搭載、少量炊き用の中ふたが付属しない点だ。ただ、毎日使う上でこれらが致命的な差になる場面は少ない。

コースを選ぶと必要な設定のみ表示される液晶

操作部は大型ブラックバックライト液晶のタッチパネルを採用。コースを選ぶと必要な設定のみが表示される設計で、迷わず使える。メニューが多い炊飯器は設定が煩雑になりがちだが、このシンプルな表示切り替えは実際に便利だった。

主なスペックは、最大炊飯容量1.0L(5.5合)、最大消費電力1080W、年間消費電力量84.0kWh/年、本体サイズ約29.0×35.1×22.0cm、重量約6.9kgだ。カラーは黒鳶(くろとび)と生成(きなり)の2色で、内なべは5年保証付き。販売店によっては10万円を切る価格で手に入ることもある。

萬古焼の本土鍋釜という「おいしさの根幹」をフラッグシップと共有しながら、操作を整理してまとめたJRL-A100。毎日食べるご飯の質を本気で上げたいなら、一度検討する価値は十分にある炊飯器だ。

総合評価:82.4点

炊き上がり:4.8
保温:3.8
使い勝手:4.0
機能:4.2
サイズ・デザイン:3.8


この記事を書いた人

コヤマタカヒロ

1973年生まれのデジタル&家電ライター。大学在学中にストリートカルチャー誌「Boon」でライターデビュー。その後、PCやデジタルガジェット、白物家電を専門分野として執筆活動を展開。寄稿先はモノ雑誌から、ガジェット系Webサイト、家電ニュースサイト、ビジネス系メディアまで、多岐にわたる。執筆以外にアドバイザーなども行う。家電コミュニティ「家電総合研究所」を主催。調理家電のテストと撮影のための空間「家電スタジオ・コヤマキッチン」を用意。米・食味鑑定士の資格を所有。