身体形状をスキャンして”自分の音”を作る。final「TONALITE」レビュー

いまやみんな使っている完全ワイアレスイヤホン。高音質とノイズキャンセルなど求める機能は多い。ワイヤレスイヤホンで「自分に合った音」を追求したい人がチェックしておきたいのが、finalのフラッグシップ完全ワイヤレス「TONALITE(トナリテ)」だ。スマートフォンのカメラで頭部・耳・肩をスキャンし、個人の身体形状に合わせた音色を生成する「DTAS」技術を世界で初めて搭載している。価格は39,800円(税込)。

耳の形に合わせた音を生み出す「DTAS」技術

人間の頭の大きさ、耳の形、肩の厚みといった身体形状は、耳に届く音に影響を与える。しかし従来のイヤホンはその個人差を無視して音を届けていた。DTASはスマートフォンのカメラで耳や頭部をスキャンし、クラウド上に個別の3Dモデル「アコースティックアバター」を生成。外耳や頭・胴体による音の反射・回折をシミュレーションすることで、「その人にとって自然な音色」を再現する仕組みだ。

初期設定は30〜40分

パーソナライズは専用アプリ「TONALITE」から行う。スキャン・分析・音色プロファイル作成まで一連の流れをアプリが案内してくれるため、操作で迷うことは少ない。ただし計測に30〜40分かかるため、時間に余裕があるときに行う必要がある。測定中に何度かエラーややり直しが発生することもあった。実際に音楽を聴きながら好みを選ぶ工程もあるので、リファレンスにする楽曲を事前に決めておくとスムーズだ。

明瞭感のあるクリアなサウンド

ドライバーには有線フラッグシップ「A10000」で培った超低歪技術を投入した「f-CORE for DTAS」を搭載。DTAS適用前の段階でも、明瞭感のあるクリアなサウンドだと感じた。

DTAS適用後はさらに音のクリアさが増す。特に中高音のボーカルの存在感が際立つ印象だ。ただし全体にナチュラルな味付けで、高音が伸びたり低音が響くといった派手な変化はない。劇的な「盛り感」を期待すると拍子抜けするかもしれないが、長時間聴いても疲れにくい自然さはこの路線ならではの強みだ。

ノイズキャンセリングとアンビエント機能搭載

フィードフォワード・フィードバックを組み合わせたトリプルハイブリッド方式のANCを採用し、騒音のカット性能はしっかりしている。ノイズキャンセリングとアンビエントの切り替え時に音声によるモード案内がない点は少し惜しい。

アプリではANCを「音質優先」と「ANC優先」から選択可能。また10バンドEQ、ゲイン設定、LDAC設定、低遅延モードなど設定の幅も広い。

耳にしっかり入って装着感もいい

耳への挿入部を極限まで小型化した設計で、装着感は良好。イヤーチップがしっかり奥まで入る構造で安定性が高く、それが音質にも貢献している印象だ。付属イヤーピース「FUSION-G」はS/M/L/LLの4サイズを同梱。Bluetooth 6.0対応、LDACに対応する。連続再生はイヤホン本体で最大9時間、ケース込みで最大27時間。

こんな人に向いている

  • ワイヤレスで「自分だけの音」を追求したいオーディオ志向の人
  • ボーカルや人の声の自然な再現を重視する人
  • しっかり時間を掛けてDTAS設定ができる人
  • 派手な音よりナチュラルで聴き疲れしない音が好みの人

まとめ

4万円前後のワイヤレスフラッグシップはライバルが多い価格帯だが、TONALITEはDTASによる音色パーソナライズという明確な差別化軸を持つ。基本的な音質水準は高く、設定の手間をかけてでも「自分に合った音」を体験してみたい人には選択肢になる一台だ。

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この記事を書いた人

コヤマタカヒロ

1973年生まれのデジタル&家電ライター。大学在学中にストリートカルチャー誌「Boon」でライターデビュー。その後、PCやデジタルガジェット、白物家電を専門分野として執筆活動を展開。寄稿先はモノ雑誌から、ガジェット系Webサイト、家電ニュースサイト、ビジネス系メディアまで、多岐にわたる。執筆以外にアドバイザーなども行う。家電コミュニティ「家電総合研究所」を主催。調理家電のテストと撮影のための空間「家電スタジオ・コヤマキッチン」を用意。米・食味鑑定士の資格を所有。