スマートウォッチを身につけるのが当たり前になった今、次のウェアラブルの主役候補として注目されているのがスマートリングだ。指輪型のデバイスを24時間着けるだけで、睡眠・心拍・体温・HRVといった生体データを継続的に計測できる。今回、スマートリングの中でもとりわけ機能が充実した「Ultrahuman Ring AIR」をご提供いただいたので、実際に装着。徹底レビューする。

インド発のスマートリング「Ultrahuman Ring AIR」
スマートリングとは、指に着けるだけで50種類以上の健康データを計測し続けるウェアラブルデバイスだ。ディスプレイは非搭載。各種センサーと小型バッテリーだけを内蔵するシンプルな構造により、スマートウォッチより圧倒的に軽くて邪魔にならず、睡眠中も違和感なく装着できる。
今回利用したUltrahumanは2019年にインドで創業したヘルステクノロジーカンパニーだ。CGM(持続血糖測定器)「M1」やスマートリング「Ring AIR」を展開し、「測定して改善する」という思想を貫いてプロダクトを開発。アスリートの回復管理ツールとしての実績もある。
「Ultrahuman Ring AIR(以下Ring AIR)」の価格は5万9800円(本体のみ、買い切り)。競合のスマートリングの多くが月額サブスクリプション契約を必要とするのに対して、Ultrahumanはアプリのデータアクセスにサブスクリプション契約が不要。一度購入すれば、ずっとデータにアクセスできる。

Ring AIRは、ローズゴールド、未加工チタン、アスターブラック、マットグレー、バイオニックゴールド、スペースシルバーの6色、リングサイズは6~14まで展開している。リング外側は戦闘機グレードのチタンにタングステン・カーバイドコーティングを施しており、日常使いの傷や摩耗に強く、高級感もある。内側は医療グレードの非アレルギー性エポキシ樹脂でコーティングすることで、肌への負担を抑えているそうだ。
重さはサイズによって異なるが約2.4〜3.6g。厚みは約2.45〜2.8mm、幅8.1mmとスリムで、それほど意識することなく装着できる。

多彩な身体情報を取得・可視化できる
Ring AIRを使うときはまず、「ULTRAHUMAN Ring AIR サイズキット」(1000円)を購入し、取り付ける指のサイズを計測する。サイズキットには、サイズ5〜14のサンプルリングが入っており、24時間装着して苦しくなく、フィットするサイズを確認。その上でRing AIR本体を選ぶ。

リングが届いたらスマートフォンにUltrahumanアプリをインストールしてペアリングする。iOS 15以降、Android 6以降に対応しており、Bluetooth Low Energy(BLE 5.0)でスマートフォンと接続できる。

Ring AIRを装着して生活するとさまざまな身体情報が記録できる。例えば睡眠トラッキング機能では就寝から起床までのデータを自動で記録し、翌朝アプリにまとめて表示できる。スマートウォッチと異なり締め付けもなく、バッテリーも長持ちするので付けっぱなしで眠りやすい。また、心拍数や心拍変動なども計測できる。主な機能は以下の通りだ。

睡眠スコア
アプリを開くと最初に目に入るのが「睡眠スコア」。睡眠時間・睡眠の質・安静時心拍数など複数の指標を統合した総合点で、毎朝の体調把握にちょうどいい指標になる。
深い睡眠・REM睡眠
睡眠ステージ(浅い眠り・深い眠り・REM・覚醒)を時系列グラフで確認できる。「深い睡眠が少ない」「REM睡眠が短い」といった傾向が一目でわかり、何が回復の妨げになっているかを探る手がかりになる。

心拍数
就寝中の心拍数を継続的にモニタリング。指は手首よりも細動脈が豊富で血流量が多いため、手首装着のデバイスより計測精度が高いとされている。赤色LEDと赤外LEDを組み合わせたPPGセンサーで測定する。
HRV(心拍変動)
HRVはSDNN・RMSSDの2指標でダイナミックに追跡する。これは自律神経のバランスを反映する指標で、翌日の回復レベルを判断する核心データになる。アプリではHRVグラフとローレンツプロット(ポアンカレプロット)も表示され、心臓の活動やストレスへの反応を視覚的に読み取れる。
体表温度
非接触の皮膚温度センサーが24時間モニタリングを続け、体温の変化から体調悪化の初期サインや、女性向けには排卵タイミングの目安を読み取ることができる。

活動量
歩数・移動距離・消費カロリー・VO2 Maxを記録。運動スコアとして数値化し、その日の活動負荷を把握できる。
回復レベル(リカバリー)
睡眠・HRV・皮膚温度・ストレスリズムを複合分析し、身体がどこまで回復しているかをスコアで表示。リカバリーをベースに「今日はどれだけ動いていいか」を判断できる。
ストレスモニタリング
自律神経の変動から日中のストレス負荷を可視化。さらに呼吸プログラムも搭載しており、ストレス軽減のためのガイド付きブリージングをアプリ内で実施できる。

カフェイン管理
独自機能のひとつ。摂取したカフェインが睡眠にいつ影響しなくなるかをシミュレーションし、「何時以降はコーヒーを控えるべきか」を提案する。
サーカディアンリズム(体内時計)管理
位相応答曲線(PRC)という概念に基づき、光・食事・運動のタイミングが体内時計にどう影響するかを示す。ウェアラブルでここまで踏み込んだ機能を提供するデバイスは珍しい。
アプリのアドバイス(Nudge機能)
睡眠データをもとに「今夜は早めに就寝を」「カフェインのタイミングを見直して」といった具体的なアドバイスをプッシュ通知で届ける。データを計測して終わりではなく、行動変容を促す設計が徹底されている点が、他のデバイスとの差別化になっている。
こまめな通知と改善プランを提示
Ultrahuman Ring AIRを使って最も印象的だったのは、「計測するだけ」で終わらない設計だ。睡眠スコア・HRV・体温・ストレス・活動量のデータが積み重なり、それらを統合してアドバイスまで出力してくる。通知も多めで、ついデータを確認したくなる。

特に面白いのが「老化ペース予測」機能。睡眠時間・ストレス・運動量のデータをもとに、生物学的な年齢変化の傾向を示し、改善ポイントを提案する。スマートリングの域を超えた、ライフスタイル最適化ツールとしての性格が強い。
就寝時のHRV(心拍変動)にアラートを表示した場合にも、運動などの改善策を提示してくれた。これはただセンサーで読み取った情報を表示するだけのスマートウォッチ、スマートリングと大きく違う点だ。

さらに、カフェインや呼吸プログラム、サーカディアンリズム(体内時計)管理まで含めると、ひとつのリングでカバーできる健康管理の範囲は他のスマートリングを大きく上回る印象だ。「攻めのスマートリング」という言葉がしっくりくる。
Ultrahuman独自の拡張機能ストア『パワープラグストア』では心臓リズム監視(AFib検知)や心臓適応力分析など、多彩なオプションも用意。こちらは別途月額のサブスクリプションだが、ニーズに応じて機能を拡張できるのも魅力だ。
バッテリー容量は24mAh。フル充電で最大6日間持続できる。ただし、0%から100%まで充電するには約60~90分かかる点に注意。デスクワーク中などにこまめに充電するのがよさそうだ。充電はマグネット式の専用チャージャーを使用する。
スマートウォッチとは棲み分けて使える
スマートリングのメリット
スマートリングが優位なのは、軽さと24時間着用のしやすさだ。2〜3gの重量なら就寝中もまったく気にならず、睡眠データの計測精度が上がる。ディスプレイがない分、通知やバッテリー消費もなく、Ring AIRならバッテリーは最大6日間持続する。また、普段時計を着けない人や、就寝時は外したい人でも抵抗なく使える。
スマートウォッチが向く人
一方、リアルタイムの通知確認・GPS計測・ランニングやサイクリングのワークアウトを細かく記録したいなら、スマートウォッチの方が適している。Ring AIRにGPSは搭載されていない。また、アプリ通知など、スマートフォンを補助する使い方もウォッチならではだ。
どちらが上ではなく、用途が違う。睡眠と回復を軸に健康管理をしたい人はリング、アクティビティ記録を中心にしたい人はスマートウォッチという棲み分けが自然だ。

約1ヵ月間、Ring AIRを装着して生活してみた。その間、スマートフォンの画面にちょくちょく表示されるアプリの通知で、健康状態のヒントが得られるのが好印象だった。中には「昨日の睡眠時間が短いから、今日は早めに寝るように」だったり、「HRVがよくないから注意してね」だったり、生活をすぐに改められるモノも多い。中には、翻訳の関係か、抽象的な通知があったり、AI機能の「JADE(ジェイド)」がまだ英語のみだったりと、まだまだな部分もある。ただしこれらも今後の進化、バージョンアップに期待したいポイントだ。
Ring AIRは、睡眠・回復・ストレス・生活習慣など、全方位を一本のリングで管理できる。本体価格が高く感じたとしても、月額費用が不要で多くのデータが計測・記録できるのがポイント。長い目で見てコストパフォーマンスは高い。スマホ操作のような機能はないが、その分バッテリー駆動時間が長い。スマートリングで健康管理を「習慣」にしたいと考えるなら有力な選択肢だ。
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