2021年11月26日に発売されたBALMUDA初のスマホ『BALMUDA Phone』。
私は発売前にソフトバンクの店頭で「充電してなくて電源が入らないのですが……」と、何もできないデモ機を手にしたときの衝撃が忘れられませんでした。
なんだこの手にしっぽり馴染む感じは……。
その時から私には「気になる存在」だったのです。
レビューなどはおおかた出尽くした感じですが、私はその「気になる存在」の評価に納得する部分もあり、反面「いやいや、きっといいところもあるはず!」という期待も捨てきれませんでした。しかしスマホには機能と価格のバランスも重要です。
2022年3月、SIMフリー版の価格[NM1] が10万4800円から7万8000円に下がりましたが、もうひと声…というのが本音ではあります。現在、家電量販店などではソフトバンク版がなんと1円~20,000円前後で購入可能です。
「よし、この価格で手に入るのならイケる!」
とは言え、スペック的にメインデバイスとしては少々物足りない。
いや、待って!「電話とメールとLINEでもできればいい」という層はいっぱいいる[MN2] !実際、LINEとカメラといくつかのアプリしか使わないって層もいるじゃないか!
そこで、多機能を求めない初心者ならBALMUDA Phoneはぴったりじゃないか? という目線で考察してみました。
初心者にもおすすめと言えるポイント
- ホーム画面のオーナー情報表示で自分だけのスマホという特別感
オーナー情報の表示は自由にカスタムできますが、ここに自分の名前・誕生日・電話番号が表示されていると「自分のスマホ!」という実感がありました。パーソナルストライプという2本のラインのカラーなども選べるので、BALMUDA Phoneの特徴とも言えるホーム画面をオシャレに設計するのが楽しいです。
また、パーソナルストライプによく使う機能を設定すると、以降はこのパーソナルストライプのフリックのみで起動できるため、迷うことなく操作できるのもいいと思います。カメラの起動や、決まった人への発信などがおすすめです。
- 女性の手にもすっぽり収まる大きさと馴染み感で片手操作もOK
女性の手でも片手操作が可能なサイズが懐かしくも新鮮でした。何より軽量で、手に持って馴染みよい丸みを帯びたフォルムがストレスを感じません。文字入力もフリック入力であればより使いやすいと思います。
何よりアイテムとしておしゃれです。映えます!
- 基本機能は問題なく動作するのでスマホとしての役割はクリア
Snapdragon765が搭載されており、一般的にはミドルレンジと呼ばれるスマホになります。いくつかのゲームアプリ・画像加工系アプリ・イラストアプリなど使用してみましたが問題なく、動きがカクカクしたり落ちたりかたまったりなどもありませんでした。
電話・メールはもちろん、LINEや画像加工系アプリやゲームもそれなりに楽しめるでしょう。
使ってみて気になったポイント
- 電源ボタンが背面にある
多くのスマホは左右側面に電源ボタンが配置されていますが、BALMUDA Phoneは背面左上にあります。おそらく片手操作ではなく左手で持って右手で操作を想定されているのだと思いますが、片手で操作したい人には少々バランスが悪い場所です。
電源ボタンの場所と丸みを帯びた形状と素材が相まって、スクリーンショットを撮る際やスリープにする際には何度か落下させてしまいました。背面にリングは装着できないので、ストラップなどで首からぶら下げるようにすると安心かと思います。
- 画面が小さいので老眼気味にはつらい
実はスマホ初心者の代表とも言える高齢者の方に、BALMUDA Phoneをおすすめするのを躊躇する一番の理由がこれです。
アプリごとのUIの兼ね合いもあるのですが、フォントサイズを最大にしても高齢者の方にはやはり見づらいサイズです。せめてオーナー情報の電話番号などはもう少し大きくカスタムできるといいなと思いました。セキュリティ面を考えて、ロック解除を設定しないとオーナー情報は表示されないようになっていると安心だと思いました。
- 動画撮影をしたい人にはおすすめしない
カメラに関しては別記事でもご紹介しますが、静止画に関しては他のスマホより大きく見劣るということは感じませんでした。特にBALMUDAが力を入れている料理モードは、メニューや光の当たり具合に撮影のコツはありそうですが、美味しそうに撮影できました。
ただし動画に関しては最も残念なポイントでもありました。動画は特に必要がないという方には静止画を楽しんでいただけると思います。
子供のスマホとしてはどうか?
初心者以外に子供のスマホとしてどうかも考えて、実際に8歳の子供に使用してもらいました。普段はiPhone7sを使用。利用するアプリはLINE、アイビスペイント、ガチャライフなどのアバター作成アプリなどで遊んでいます。初期設定で名前や誕生日を表記させて渡したところ、とてもうれしそうに
「名前が書いてある!」
と、笑顔になりました。ストライプをフリックして私に発信できるのも気に入ったようです。好評だったのは電卓ウィジェット。BALMUDA Phoneの初期設定ではオリジナルアプリの電卓やスケジューラーがウィジェットで設置されていますが、特に電卓は使いやすいとのこと。
画面サイズがiPhone7sよりも小さいので、アプリによっては使いにくさもあったようです。子供の手の大きさでは両手操作になりますが、案の定、電源ボタンを押す際には落下させていました。最終的には「選べるならiPhoneかな」とのことですが、見た目の可愛さと自分のスマホという演出はとても惹かれたようです。
親が低学年の子供にスマホを持たせる理由は、LINEを使用しての連絡手段と位置情報の把握です。LINEはキッズケータイではできないのでスマホになってしまうのですが、機種の選定も悩みますよね。
親iPhone・Android→子Androidの組み合わせはファミリーリンクによる管理が可能なので、機能制限さえしっかりすればコンパクトなサイズのBALMUDA Phoneは子供のファーストスマホとしては喜んでもらえそうです。複雑な作業はしづらいので長時間利用の対策にもなりそうです。
なかなか魅力が伝わりにくいが今後への期待が膨らむ
BALMUDA Phoneはデザインもオシャレで特に難解な操作や設定もないので、たいていの人は問題なく使用できるでしょう。
当初は酷評もあったBALMUDA Phoneですが、実際に使用してみるとカメラも動作も操作も「思ったよりよかった」と感じました。その魅力がなかなか伝わっていないのと、現状ではスペックと機能と価格において厳しい評価になってしまうと思います。
しかしBALMUDA Phoneがそもそもスマホ業界でトップを目指しているとか、高評価を得るために作られたわけではありません。寺尾社長が欲しかったものを形にしたBALMUDA Phoneは、きっと今後も世論が求める形ではなく、BALMUDAらしく進化していくのではないかと期待が膨らむのです。