近年、IoT化が進んだことでさまざまなデバイスに通信モジュールが内蔵されている。オフィスなどに設置する電設資材は、消防法などの法規制や放熱・強度の観点から金属筐体が多用されている。
しかし、従来のアンテナは、金属の近くに設置すると電波が反射・干渉して通信性能が大きく落ちるという根本的な弱点があった。そのため、金属筐体の外にアンテナを飛び出させたり、壁から離して設置したりする必要があり、デザイン性・施工性・コストの面で長年課題となっていたそうだ。

そこで、エレクトリックワークス社は2016年から開発を開始し、スロットアンテナの理論に着目した独自構造にたどり着いたのが、「金属ロバスト性を有するアンテナ設計技術」だ。「ロバスト性」とは外的な要素に負けず性能や機能を維持できる堅牢性や強靱性を持つこと。金属ロバスト性とは、金属に影響を受けないということだ。

ポイントは「スロット付きキャビティ」と「内蔵アンテナ」の組み合わせと共振だ。金属筐体の表面に細い溝(スロット)を設け、その内部にダイポールアンテナを配置する。両者が同じ周波数(例:920MHz)で共振するよう設計することで、金属筐体そのものがアンテナとして機能し、スロットから電波が外部に放射される。この共振現象により、背面の金属による影響も受けにくくなる。これによってアンテナの金属筐体への内蔵と金属壁への近接、両方を同時に実現している。

さらに、パナソニックEW社では920MHzと2.4GHzの2つの周波数帯に同時対応できるマルチバンド技術も確立。一つの金属筐体で複数の通信規格をカバーできるという。
この技術は2019年に無線調光型LEDスポットライトへ初搭載され、2024年にはスポット気流(空調機器)でも採用された。そして、2026年には高天井照明への搭載が予定されている。現在はパナソニックEW社の商材に搭載されているが、将来的には、家電製品など、グループ会社の製品への搭載も検討されている。

この「金属ロバスト性を有するアンテナ設計技術」は基礎技術が特許申請済みとのこと。
今回開発されたモジュールを利用することで、外付けアンテナが不要になったり、デザインがすっきりしたりする。設置場所を選ばないため施工も容易になる。また、金属だらけの工場や建設現場でもIoT化が進められるなど、応用範囲は幅広い。住まい・ビル・工場・インフラのあらゆる場所への無線ネットワークの普及に役立つ技術なのだ。